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Neo-PRで見直したい、本来のあるべき経営とPRのあり方

FMラジオ番組「大人のミライ」のパーソナリティや、IT企業の顧問・アドバイザーを務める河上純二氏をモデレーターに、ベンチャー・スタートアップの経営者を招き、その人柄や創立秘話などについて話を聞くYouTubeのトークライブチャンネル「『JJの部屋』by COLABO」。

ディアメディア代表の味岡と戦略顧問の松永エリック氏をゲストとして招いていただいたトークライブチャンネルの一部を、レポートとしてお届けします。

 

右手前:河上純二 / 左手前:松永エリック・匡史 / 左奥:味岡 倫歩

 

河上純二
顧問・アドバイザー・新規事業プロデューサー・コミュニティコーディネーター

映像クリエイター・VJ活動を経て、1997年よりGateway Japan,PCCW Japanなど外資系企業にて新規WEBサービスの立ち上げにプロデューサーとして参画。その後は株式会社USEN、株式会社medibaにて新規事業立ち上げ責任者、株式会社D2Cでコンシューマ事業部門長を務める。現在は、AI(人工知能)のスタートアップMIKAKU INC代表、ワインビジネスのスタートアップBUDOU Inc取締役、社団法人スマートデバイスアプリ開発技術認定普及評議会理事、B2Bインフルエンサー、社団法人ライフクリエイト協会理事、イタリアンレストラン「Osteria dieci」オーナー。あわせて、スタートアップ・ベンチャーを中心に企業の顧問・アドバイザーとして6社ほど経営に参画しIT業界の発展に従事している。

 

松永エリック・匡史
青山学院大学 地球社会共生学部 教授・ディアメディア 戦略顧問

青山学院大学国際政治経済学研究科修士課程修了。デジタルイノベーションをリードするビジネスコンサルタントの草分けであり、バークリー音楽大学出身のプロミュージシャンという異色の経歴を持つアーティストとしても活躍。ビジネスコンサルタントとして、アクセンチュア、野村総合研究所、日本IBM、デロイト トーマツ コンサルティング メディアセクターアジア統括パートナー(執行役員)、PwCコンサルティング合同会社 デジタルサービス日本統括パートナーを経て現職。

 

味岡 倫歩
ディアメディア 代表取締役

株式会社リクルートにて広告営業、株式会社富士山マガジンサービスにてウェブマーケティング、広報業務に携わった後独立。フリーランスのPRとして活動を開始し、通常の広報業務の他、広報部門の立ち上げ、未経験広報担当の育成、PRコンサルティングなど、企業・サービスの立ち上げ期から拡大期、上場企業までを経験。知名度も予算も人脈もないスタートアップと一緒に戦略を練り、テレビや雑誌をはじめ多数のメディア取材を獲得。本当に手に入れたい経営資源を手にするところまでのサポートを得意とする。

 

Neo-PRで伝えたい、新しいPRと経営の関係性

河上純二氏(以下、河上):これまでコンサルティングの立場から経営サイドにいたエリックと、長い間PRをやって来られた味岡さんにまず伺いたいのは、二人がこれからどんな取り組みをしていくのかということ。

 

松永エリック・匡史氏(以下、エリック):僕たちは、これまでなかった「新しいPRと経営の関係」を世の中に提唱したいと思っています。その考え方を「Neo-PR」という言葉で伝えているところです。

そして、このNeo-PRには3つのメッセージを含んでいます。

まず一つ目は経営者に向けてです。
これからの時代、企業として生き残っていくためには、経営者は変わらなくてはいけないということ。

二つ目が広報PRの担当者の方に向けて。
彼らはセンスがあってすごく頑張っているにも関わらず、日の目を浴びていないんですよ。だからもっと広報PRという立場を、世の中に確立していきたい。

三つ目がIT。
リアルタイムの情報収集、分析にスピードを求められるNeo-PRのシステムは、ITを次の次元にもっていく。セキュリティーも完璧を求められ新しい運用も求められます。Neo-PRのシステムがこれからのITや働き方を変えるすごいものになると思っているんです。

これらのメッセージを伝えながら、PRの重要性を世の中に訴えていきたいと思っているんです。

 

河上:なるほどね。そのNeo-PRの観点から見たときに、個人でも企業でも構わないんだけれども、上手にPRを取り入れているなと感じる例ってあるのかな?

 

エリック:僕はもう即答で、トヨタの豊田章男さん。
僕の中では、アップルのスティーブ・ジョブズがiPodを発表したときと同じくらい衝撃を受けて。

彼はこの間スープラを発表したときに、自分をさらけ出したんですよ。
SUVなどもっと売れる車種を発売できる中で、なぜ今スープラなのか、そして自分がどれだけスープラを愛しているのかという自身のストーリーを世の中にさらけ出したわけですよ。これこそ、企業トップがやるべきことなんだよね。

経営者自らが自分のストーリーを語るというのは本来あるべき姿なのに、僕が知っている限り、あそこまで徹底してやっているのは日本では初めて見たなと思ったんですよ。

その後トヨタイズムでは、「僕たちは、自動車会社ではなくなる」って言っているんですよ。それってすごいこと言ってない?だって、株主たちは自動車会社だと思って株買っているのに、自分たちはもう自動車会社じゃないって言うんですよ。

また、これをメディアを使って言えるのもすごいことで。

はっきり言って、メディア(※編集註:オウンドメディアを運営する部署のこと)単体ではできる企画ではない。つまり、経営とメディアが一体化してるという証なんだよね。これを実現するためには、経営とメディアを繋げる役割がいないとできないことですよ。これは海外ではいるけど日本ではいなかった。しかもそれを、日本を代表する企業がやったというのが僕にとっては衝撃だった。

 

味岡倫歩(以下、味岡):そこに付け加えて、ちゃんと自社の製品やサービスと紐付けているのが素晴らしいと思うんです。経営者自身の面白さやストーリーだけを取り上げるのではなく、その人と自社の自信を持った製品とを結びつけて発信しているのがいいですよね。

ストーリーは必ず全員が持っている。誰かに引き出してもらえばいい

河上:僕の周りには想いを持つ素敵な経営者の方がたくさんいます。だから僕もこのNeo-PRの考え方を広げて、周りの素敵な方達にいい影響をもたらして行きたいって思っているんですよ。

もちろんストーリーがありながらも、伝えたくない人もいるかもしれない。でも、伝えたくて伝え方がわからない人がいっぱいいると思うので、その方々にNeo-PRの考え方をお伝えしたいなと。

 

エリック:人って誰でもストーリーを持っているんですよ。そして、このストーリーには人を感動させる力があるんです。

僕個人の意見だけれど、ストーリーがありながらも伝えたくない人というのは、そもそも経営から離れるべきですよ。

どの経営者も自分のストーリーを持っているはずです。自分の会社を愛し、自社の製品やサービスを売りたいと思っているなら、そこには必ず想いがある。人生って、みんなそれぞれたくさんの経験を経て今があるんだから、誰でも必ずそこにはストーリーがあって、伝えたいと思えば必ず伝えられる。

ただ、そのストーリーに対して、「僕のストーリーなんて大したものじゃないし、出すほどのものでもない」って思うのは間違っていますね。誰かに引き出してもらうことで、ストーリーは輝かせられる。僕たちは、それを引き出す役割なんです。

 

味岡:そうですね。広報視点から言うと、そのストーリーを引き出せる広報担当者さんは、すごく重宝されるんですよ。その力って、ビジネスマンとしてすごく大事な力だと思うんです。

「この人はどんなことを考えていて、なにをピックアップしてあげたら世の中に伝わるんだろう?」そう考えて、エッセンスだけでも引き出してあげれる広報担当者さんがいたら、経営者はその人を絶対に離したくなくなるはずです。

内側との繋がりをどれだけつくれるか。Neo-PRとこれまでの戦略PRの違い

河上:先日、エリックのzdnetの記事を読ませてもらいました。そこでPRのリーダーを「CPS(Chief PR Specialist)」と呼んでいたと思うんだけど、僕自身もCPSの力をもっと磨きたいと思ったわけです。じゃあ、そうなるためにはどうしたらいいんだろうって。

広報の専門知識が重要なのではなくて、きっと大事なのは、会社の社長や経営陣に寄り添う感覚や意識を持っていることが重要なのかなと。

 

エリック:それはまさにそう。僕ら人間って、誰かを喜ばせるために生きているって思うのね。じゃあ経営者は誰を喜ばすべきか?多くの人がクライアントって言うけれど、僕は違うと思う。経営者がもっとも喜びを与えるべき相手は従業員であるべきじゃないかと。

CPSにおける一番の肝は、従業員を見ていること、つまり、会社の内部も重要視しているところなんです。

 

河上:ということは、CPSの役割は内部にどこまで影響与える発信できたのかってことになるんですか?

 

味岡:そうですね。最近の炎上など内部告発が起こりやすくなっているのは、まさにこの部分を表していると思いますね。

従業員は、その企業の一番のファンなんです。そして企業はファンになってもらう努力をすべきなんです。従業員からの支持を得られなければ、その企業はやはり衰退していく。もちろんPRとしては、外とつなぐことはすごく大事な要素なんだけれど、そこだけではない。外とだけの繋がりでは不十分なんです。

 

エリック:従業員もそうだし、家族もそう。本当に大事なところを、きちんとみていこうって。今までの戦略PRとNeo-PRの決定的な違いはそこにあって、外との繋がりばかりではなく、内部との繋がりをしっかり作っていこうとしています。

だから、企業として従業員が認めないものはやるべきではないと思うんですよね。いくら外部でバズが起こっていたとしても、内部の従業員という仲間が「こうだ!」って言っているものが最終的には勝つと思っていて。仲間が「一緒にやろう!」って言ったものではなく、信念を曲げて仲間を無視してやってお金儲けしても、そこに残るものって何なんだろうって。経営者は今一度じっくり考えてみて欲しいところです。

経営とPRが共に歩む意味

河上:では、今後の企業経営を支えていくことになるPR人材、CPSの人材育成についての話を聞かせてください。

 

味岡:広報担当者さんって、これまではツールの習得に必死だったんですよ。どうやったらプレスリリースうまく書けるのか、どうやったら記者さんと繋がれるのか、どうやったらメディアに出れるのか。そうやって手法に寄ってしまっていたんです。だから手法についてはみなさんたくさん勉強するし、そういう勉強会も山ほどある。

でも手法は、元となる考え方があって、その考え方を組み立ててから手法を使わないと、全く意味がないんですね。だから、一つの手法をやってみてダメだったら次の手法へというように、手法の繰り返しをしてしまうんですが、そうではなくて、どうしてそれがいいのか、どうやって組み立てたらいいのかを考えられる人を育てていきたいんです。

 

エリック:僕たち二人が組む意味って、経営視点とPR視点のどちらも取り入れたメソッドにできていることなんですよ。

僕はこれまで経営サイドにいたわけです。そこで僕が思っていたのは、「(うまくいくように)PRの人も働いてよ」こと。

例えば僕がデジタル事業を立ち上げた時も、PR担当者の人に対して働いて欲しいってずっと思っていたんですが、働いてくれないから結局自分でやっていたんです。でもそれを味岡と話した時に、彼らは彼らの視点で頑張ってやっていたということがわかった。つまり、お互いの想いや意思が届いていないんですよ。

これまでうまくコミュニケーションが取れていなかったものが、僕ら二人が組むことで、それをメソッドにしているんです。

今までものは、どっちかだったんですよ。PR側か経営側か。そうではなくて、どちらの視点も持ち合わせた人材を育てることが、僕らがやりたいことであり、あるべき姿です。

僕のいたコンサルという仕事においても、方法論だけで解決するならみんな書店に行って本を買えばいいし本で解決できているはず。でも、本ではなくて誰かに依頼するということは、やっぱり「人」なんですよ。誰がどうやっていくかがすごく大事で、なぜなら、人には愛があって、熱量があるから、その人がやることに意味があるわけです。

だから僕らがやりたいのは、できる人を派遣することではなくて、頑張っている人がより活躍できるように育てること。そして、その人が活躍しているのを見たいというのが、僕らの想いです。

 

トークライブの一部をレポートとしてお届けしました。

全トークをお聴きになりたい方は、こちらの動画をぜひご覧ください。

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