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PRを軽視する会社は、いずれ滅びる——「スタートアップの事業を加速させるPR戦略」イベントレポート

ディアメディアでは、中長期的な​広報戦略の立案や、未経験の広報担当者育成をする企業広報活動を支援しています。

2019年4月18日、dock-Toranomonにて、『スタートアップの事業を加速させるPR戦略 〜リリース配信だけじゃもったいない! 成果に直結するPRの“仕掛け方”教えます〜』と題し、事業の結果に繋がるPR思考や手法を紹介するセミナーを開催しました。

セミナー後半では、経営コンサルタントであり青山学院大学の教授の松永エリック・匡史氏を迎え、PRがいかに経営において重要かを、熱く語っていただきました。

今回は、そのトークの模様をお届けします。


味岡 倫歩
ディアメディア代表取締役

株式会社リクルートにて広告営業、株式会社富士山マガジンサービスにてウェブマーケティング、広報業務に携わった後独立。フリーランスのPRとして活動を開始し、通常の広報業務の他、広報部門の立ち上げ、未経験広報担当の育成、PRコンサルティングなど、企業・サービスの立ち上げ期から拡大期、上場企業までを経験。知名度も予算も人脈もないスタートアップと一緒に戦略を練り、テレビや雑誌をはじめ多数のメディア取材を獲得。本当に手に入れたい経営資源を手にするところまでのサポートを得意とする。

松永エリック・匡史
青山学院大学 地球社会共生学部 教授

青山学院大学国際政治経済学研究科修士課程修了。デジタルイノベーションをリードするビジネスコンサルタントの草分けであり、バークリー音楽大学出身のプロミュージシャンという異色の経歴を持つアーティストとしても活躍。ビジネスコンサルタントとして、アクセンチュア、野村総合研究所、日本IBM、デロイト トーマツ コンサルティング メディアセクターアジア統括パートナー(執行役員)、PwCコンサルティング合同会社 デジタルサービス日本統括パートナーを経て現職。


PRなしに経営はできない

味岡倫歩(以下、味岡):エリックさんは経営コンサルタントであり、現在青山学院大学の教授をされておりますが、まずはどのような経歴をお持ちなのか、簡単に紹介をお願いします。

松永エリック・匡史氏(以下、エリック):今ご紹介いただいたように、現在は青山学院大学の教授をしておりますが、元々は経営コンサルタントです。アクセンチュアにはじまり、野村総合研究所、日本IBM、デロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティング合同会社と、20年間コンサルタント業界におります。

デロイト トーマツでは、執行役員としてメディアセクターのアジア統括をし、PwCではチーフデジタルオフィサーとして、デジタル事業の立ち上げを行ってきました。

味岡:PwCで事業を立ち上げられた時には、PRの概念を取り入れて事業推進されていたと伺いました。新規事業の立ち上げにあたって、なぜPR的な発想が大事だと思ったのでしょうか?

エリック:その質問を抱かれる方が多いと思うのですが、僕の発想は逆で、「なぜ、PRなしに経営ができるのか」という考えです。PRなしに経営はできないと思っています。経営層がPRを意識していないのは、世界を見ても日本だけだと思います。

海外においては、PRはストラテジーには欠かせないものだと認識されています。元々は政治家の発想です。

例えば、みなさん一度は24や海外ドラマを見たことがあると思います。その中で、広報官という役職が出てきますが、彼らはかなり上層のポジションですよね。ドラマでも重要な位置づけになっています。

ところが日本では、PRの存在感は薄く、組織的にもマーケティング部門配下の位置付けです。

また、僕自身がマネジメント層だった時代は細かいことをチェックする機関のようにしか見えませんでした。せっかく書いた記事を、あーだこーだ文句言われチェックされて訂正させられるというネガティブなイメージです。

味岡:それは、大企業あるあるですね。

エリック:PRが機能していなかったため、自分の手で、PRを取り入れた事業戦略を自前で展開してきたという自負があります。

PRに重要なのは、売上までのストーリーを持たせること

味岡:広報担当者が会社にはいたけれど、エリックさんが全部自身でやって来られたんですね。

エリック:はい、そうです。プレスリリースも自分で書いていましたし、その他の記事も全て自分で書いていました。メディアの交渉やイベントの戦略もやりました。

僕の中では、プレスリリースを書くにあたって重要なポイントがあります。

味岡:それはどんなポイントですか?

エリック:その1本のプレスリリースから、最終の売り上げまでのストーリーを持つことです。

日本でPRがなかなか地位を確立しないのは、PR側にマネジメントの感覚が全くないことが原因です。そして、マネジメント側からもPRはお金にならない機能だと思われています。

確かに、プレスリリースを出したからといって、すぐお金になるわけじゃない。でも営利活動をする企業である以上、お金にしなくてはいけないんですよ。だからPRするにあたっては、1本のプレスリリースにも、誰をどこに誘導してどう売り上げに繋げるのかというストーリーが必要なんです。

また、セールス部門の人がPRを見ていないのもダメですよね。セールスもPRの要素をもっと活用すべきです。

例えば僕だったら、セールスのKPIを立てて、1本のプレスリリースをベースに「○通メールを出して、○件アポ取って、○件提案しろ!」って指示を出します。

こうすれば、1件のプレスリリースからいくら売上が立ったかわかるはずです。PRはお金にならないなんて言わせません。

これがないから、日本のPRはダメだと言われてしまうんですよね。

経営トップの隣にいるべき存在はPR

味岡:なぜ日本のPRは、ストーリー設計できるようなポジションになく、分断して考えられるのでしょうか?

エリック:僕は経営コンサルタントとして経営トップの方とお話をする機会が多いですが、その時にPRの話なんて出たことないですよ。経営からすると、PRなんて見えていないんですね。PRが経営に必要な概念だと、そもそも捉えられていないんです。でも僕は、PRを軽視している経営者の会社は滅びると思っています。そういう企業は、いつか潰れてしまう。

味岡:日本において、PRが上手だと感じる企業はありますか?

エリック:最近、僕の中でベストプラクティス企業だと思っているのが、トヨタさんです。

みなさんはトヨタさんのスープラのCM、見ましたか?

あのCMは、トヨタさんのストーリーなんですよ。

▲香川編集長#2 デトロイトモーターショーで豊田章男社長を直撃取材( https://www.youtube.com/watch?v=QIuiPDjoStM )より

エリック:ここには、どうしてスープラを出さなくてはいけないのかというストーリーがあり、
さらに車の存在のストーリーがあり、
これから自動車事業がどうなるかというストーリーがある。

そして、最後を締めくくるのは、「Fun to drive. 」という言葉。

愛が詰まっていますよね。
これこそ、企業トップが出すべきメッセージです。

このメッセージは、経営トップとPRが組んだからこそ実現できたメッセージ。
経営トップとマーケティングが組んだのでは、絶対に無理です。

経営トップの隣にPRがいる会社じゃないと、本当に生き残れないと思うんです。

味岡:他にPRが上手だと思う会社の事例はありますか?

エリック:日本ほど酷いと全部上手にみえてしまいますが、やはり、米国の企業は上手だと思いますね。

Facebookだってそうだし、イーロン・マスクだってそう。悪い方に向かうとスキャンダルになってしまうリスクはありますが、自分をさらけ出しているCEOだから、いろんなスキャンダルも出てくるのは仕方がない。でも、CEOの考え方や生き様全てが会社のストーリーになる。とても大事な部分です。

日本の場合は社長が見えない。
だから、社長はそれを見える化しないといけないわけです。

企業にとっては、どう商品を売っていくのかなんて実はとても些細なことだと思います。たった一つの製品の性能がいいからって、企業が維持されているわけじゃないんです。

企業を維持するために本当に重要なのは、これから企業はどうしていくのかと、5年後10年後を見据えてメッセージングしていくこと。

それには、PRがサポートしなくてはいけないし、パブリック・リレーションズの意見を戦略に組み込まないといけません。

PRにおいて重要なのは「感じること」

味岡:そのような活動をPRが担う時に、広報担当者にはどのような素養が求められますか?

エリック:ズバリ「感じること」です。つまり、素直になるということですね。決して分析能力なんかではないと思いますよ。

みなさんは、デザインシンキングの本を読んだことがありますか?

本で紹介されているプロセスは非常に深いことを言っているので、おそらく正しく理解できている人が少ないかと思います。

本での解説は、需要を受け入れるところから始まるのですが、受け入れて分析するだけだったら今までの経営手法と全く変わりません。そうではなくて、あの本で伝えているのは、

「受け入れて感じること」なんです。

僕が経営コンサルをする際は、マーケティングデータをたくさん見せて判断させることは絶対にしません。それよりももっと、「どう思いますか?」「何がやりたいですか?」「何にワクワクしますか?」と、感じていることや内側にあるものを引き出すことから入っていきます。

僕はこれがデザインシンキングの本質だと思っていて、PRに求められるのも、独自の発想や感じることだと思うんです。だから、データ云々より感性を上手く育てていくことの方が、PRを担う人には重要になってくると思いますね。

味岡:では、PRパーソンとしては、経営者の中からその感じているものを引き出すのも大事になってくるんですかね?

エリック:それはとても大事ですね!

コンサルタントはよくヒアリング力が大事だと言いますが、経営コンサルタントの一流と二流を分けるのは、いかに経営者から情報を引き出せるかです。

味岡:そういうPRパーソンになるべきなんですね。

エリック:そう、そのためには感じて、エキサイトすることです。

僕はコンサルティングの講演をやることも多いのですが、コンサルティングに一番重要なのは、愛と熱量だと思っています。

いま投資ファンドにおいてもそうですが、ビジネスモデルがどうこうではなく、この人と仕事したら面白いかとか、この熱い想いがいいよねってところに人は惹かれるんです。だから、「その熱量と愛情をどう表現できるか」というところを、もっともっと考えて行くべきだと思いますね。

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